ウズベキスタンの首都・タシケントの街をぶらりと歩いていたときのこと。ふと目に留まったのが、黒いサングラスの形をした謎の交通標識でした。日本では見かけたことがないデザインだったので、思わず立ち止まって写真を撮ってしまいました。

気になって、そのままホテルに戻り、フロントのスタッフに「この標識、どういう意味なんですか?」と尋ねてみました。すると、なんと運転免許を持っているにも関わらず、「分かりません」とのこと。意外な答えに驚きつつ、その場では謎のまま終わりました。
それから数ヶ月後、今度はカザフスタンのアルマトイやシムケントを歩いていたとき、またしても同じサングラスの標識を発見!とある交差点では、その標識の上に「ストップ」とカザフ語とロシア語で書かれた表示も付いていました。



再び、宿泊先のホテルでこの標識について聞いてみたのですが、こちらでも「よく分からないですね」との反応。どうやら、現地の人々にもあまり知られていないようです。
その後、街を散策していると、大きな黄色い標識に遭遇しました。中央にはあのサングラスのイラスト、そして上部にカザフ語、下部にはロシア語の説明書き。スマートフォンのGoogle翻訳で内容を確認してみると、こう表示されました。

「運転手さん、注意してください。視覚障害のある歩行者がいます。」
なるほど!この黒いサングラスの標識は「視覚障害者に注意」という意味だったのです。サングラス=見えにくい=視覚に障害がある、という連想ですね。
ただ、ここで少し気になったことがあります。私が聞いた限りでは、ウズベキスタンやカザフスタンの多くの人たちがこの標識の意味を知らないようでした。現地で出会った人は数名だけなので断定はできませんが、あまり周知されていないのかもしれません。



さらに、日本ではおなじみの「視覚障害者誘導用ブロック」(通称・点字ブロック)が、ウズベキスタンやカザフスタンの歩道にはほとんど見られませんでした。そのため、視覚障害者が安心して歩くには厳しい環境のように感じられます。
そういえば、旅行中に白杖を持った視覚障害者の方を一度も見かけなかったのも印象的でした。
中央アジアの都市も、これからもっと多様な人に優しい街になっていってほしいなと、そんなことを感じた旅のひとコマでした。
コメント